ブッドレア、ジニア、矢車草、ひまわり。一応バタフライガーデンのつもり。ミヤマカラスアゲハやヒョウモン蝶、Lタテハなど豊作、いつも大賑わいでした。 (9/1) 壊滅的かと思ったらそうでもなかった 菜園です。 長いこと北海道に暮らしていますが、こんな年は初めて。もっと長いこと北海道に暮らしている村民の皆さんもそう言っているから間違いなくこれまでに経験したことのない夏でした。 ガレージ入り口の温度計はついに40℃超え、雨が降らない日が数週間も続く、まさしく災害といってもいいほどの日々でした。今年の2月には−20℃を下回る日が何日かあったような気がします。その気温差は60℃以上。石垣島より暑いと怒るのも当然でしょう。 菜園の野菜にとっても辛い状況でしょう。必死に水やりしてもまさしく焼け石に水、菜園では水! 水! 水の大合唱にゴメン、ゴメンと頭を下げる日々がしばらく続きました。この苦境を救ってくれたのがフジカド氏が発見したすぐれもののスプリンクラーでした。 これまではスプリンクラーに対して敵意にも似た感情を抱いてきました。水圧でホースがハズレる、もしくは回るハズの首の部分が回らないなどの不具合が必ず生じて、作物に均等に撒水する器具のハズなのに地面を深くえぐって周囲を水浸しにするという事態が多々発生。こんなスプリンクラーなら水量は少なくともホースで地道に散水した方がましというのがお手軽スプリンクラーに対する評価でした。 しかし今夏、入手したドイツ製のスプリンクラーはすごかった。撒水の角度や距離がかなり正確にかんたんに調節できるのです。菜園の隅に定植した大切なオクラにピンポイントで水を飛ばすという技も可能なのです。1日3回スプリンクラーを移動させると菜園のすみずみまで水が行き渡るという優れものでした。 これで水やり問題はほぼ解決、夏野菜は強い陽射しと高温をものともせずトマトも茄子も例年以上に実をつけました。(水道代は? 深く追求しないでください) この賢いスプリンクラーの出現で乾燥問題は克服できました。 しかし・・・・。 雨が降らないと困るのは人間も同じであることに気づきました。人間にとって、たまの雨降りは休息だったのですね。雨の降る日は「今日は雨だから仕方がない」と菜園仕事を大っぴらに休める公認の休息日だったのです。ところが晴れの日がこうも続くと公認の休息日はなくなります。菜園仕事を休むのではなくて、菜園仕事をサボるということになってしまう、誰れに非難されるわけでもないのに「熱中症が怖いし」「最近はマダニも多いし」とか言い訳をしながら、後ろめたい気持ちでサボるということになってしまいます。 野菜同様、人間にも雨の日が必要だったのです。 苗は自力で作る 今年も野菜もハーブも花も苗は全部自作して一株たりとも購入しないという方針の下、春3月から苗作りにとりかかりました。加温していない温室の気温は屋外とほぼ同じ。雪よけ程度の働きしかしてくれません。そこで温室の中に簡易型ビニール温室を設置してヒーターで加温、この二重温室の中で苗を育てます。 実際には苗作りは去年の秋から始まっていました。 トマトや向日葵やマリーゴールド、ナスタチューム、万願寺唐辛子、大豆、インゲンなど種を採取しやすい作物は片っ端から種を採って保管しておいたのです。トマトは6種類、味のよかった株の実から採取、向日葵は60センチ丈の矮性から2メートル以上の高性まで気に入った花色の株を数種類。こうしてせっせと集めておいた種を播いて育苗したのです。 例えばトマト、いつものようにカタログの買え買えコールに屈してつい購入してしまったのが5種類、全部在来種、いただいた「ホレマル」を加えると全部で12種類です。中にはF4に当たるような古株もチラホラ。1種類につき4株ずつ栽培すると48株、まあそれくらいなら菜園に押し込めるだろうと考えて、12種類、均等に4ポットずつトマトの種を播きます。 播いた種がすべて発芽するとは限らないから安全を期して1ポットに3粒〜4粒。でも予想は外れてトマトの種子はこの逆境でも素直に発芽するのですね。1ポットに3、4本の小さな苗。 ここで一番強そうなヤツを残して他は始末するというのが常道です。まだ外には雪がたっぷり残っている、気温は日中でも−10℃、こんな状況で頑張って発芽したトマトの芽を摘むなんてことができるでしょうか? 先延ばししているうちに苗は育つ、苗をひとまわり大きポットに植え替える、元気に育つかな? 菜園に定植して枯れる苗もあるかもしれないと大事をとって多めに残すことにする、すると48ポットのハズが100ポット近くにふくれあがってしまうのです。 同じことをどれだけ繰り返せば学ぶのか、多分、来年の春も同じことを繰り返しているでしょう。 ヘリオトロープの花に吸蜜に立ち寄ったヒョウモンチョウ。オオウラギンスジ? (9/1) 家庭菜園道をきわめたい 最終的には12種類72株のトマトの苗ができました。菜園押し込みにも成功。ここでハタと考えた。 これまで「トマトの脇芽は摘む」という教えを忠実に守って脇芽摘みに励んできました。つまりよけいな芽を摘んで1本立ちにするのですね。効率よく収穫するためには必要な作業です。 考えてみると家庭菜園の教科書のほとんどは長年、農業に従事してきた人や農業指導員的立場の人が著したものです。そういうプロの方はいかに省力化して効率よく栽培していかに生産性を上げるかを追求してこられた方々でしょう。 家庭菜園を趣味とする人の中で「買った方が安い」という言葉を投げつけられて傷ついた経験のない人はおそらく皆無でしょう。誰にもそういう経験があるはずです。 特に農村では至る所にプロ、元プロが運営している直売所があって春から秋まで安価で美味しい野菜を提供してくれます。最盛期ともなればまっ赤なミニトマト「アイコ」がカゴいっぱい100円で販売されているのです。茄子5本で100円、胡瓜は1本10円その上、形の悪い野菜をおまけにたくさんつけてくれます。 素人にはまるでコピペしたように見える均一な「アイコ」はまずできない、土作り、耕耘、植えつけ、施肥、手入れと思いっきり手間暇かけたってできない。逆立ちしたってできない。 「買った方が安い」はまさしく正論です。正論だからこそ深く傷つき、「世の中にはお金に換算できないものだってある。」などと横を向いてうそぶくのです。 次ぎに営利栽培の場合には最重要課題であろう省力化について。家庭菜園の管理人は省力化より手間をかけて育てたいという気持ちの方がずっと強い、思い通りに野菜がスクスク育ち、難なく収穫に至ってしまっては家庭菜園の醍醐味は半減してしまうのではないでしょうか。ハラハラ、ドキドキの日々。毎日、幾度となく天を仰ぎ、カラスを追い払い、アブラムシを潰し、青虫たちには別の株への移動を促す、何かと世話を焼く、管理人にとってはその煩雑さこそが大いなる楽しみでもあるのです。 理想的な天候が続き、害虫や病気も発生もなし、雑草もごく控えめなどというまことに理想的な状況に陥ったら、菜園の楽しみは半減どころか殆どなしといっても過言ではありません。作物の立場からすれば、人間の手によって施される作業のほとんどはよけいなお節介であると感じていることは重々承知なのですが・・・・ つまり趣味の菜園では経済性も省力化も追求しない、まさしくプロとは逆の路線が取られているのです。ならば家庭菜園を趣味とする者は、既存の家庭菜園の指導書からもっともっと自由になってもいいのではないか? トマトの脇芽を親の仇のように摘まなくてもいいのではないかという考えが頭をよぎったのです。 早速、実行しましたよ。トマトは2〜3本立ち、茄子だって定番の3本立ちは放棄してかなり野放図、ゴーヤーもツルを剪定しなかったからネットに絡みつき放題。夏を迎えた菜園は予想に違わずジャングルと化し惨状といってもいい様な様相を呈してきました。 一番の問題はトマト。「2〜3本立ちにするなら株間を2倍から3倍とらないとね」と専門家から真っ当な指摘を受けました。そうです。1本立ちの間隔で2〜3 本立ちは無理、浅はかでした。菜園仕事の大半がトマトの整枝ということになってしまいました。プロの農業者ではなく素人の立場で家庭菜園の新しい楽しみ方を追求しようという試みはそのスタートで高い壁にぶつかってしまいました。結果はこの惨状。家庭菜園道をきわめるにはまだまだ時間が必要なようです。でも諦めませんよ。 ジャングルと化したトマトの群れ。ここには28株押し込んだのだが・・・トマトの背後から高性ひまわりとコーン・ゴールドラッシュの群れが迫る (9/1 しかし太陽とスプリンクラーという強い味方を得て作物の出来は上々、いつもはうまくいかない大玉トマト「世界一」や「ポンテローザ」も大きな実をたくさんつけています。8月中旬にして冷凍ストッカーはトマトで溢れかえっています。2年分はゆうにあるでしょう。ツルが絡み合って密林化した雲南百薬やツル紫、ハンダマなどの南国野菜は絶好調。石垣島より暑かったのだからそれも当然。 ブラシカ類の定植も終わり秋仕様の菜園。まだまだみんな元気! (9/1) さて菜園は秋モードに突入しています。今年3巡目となるブラシカ類、キャベツ、ブロッコリー、ブロッコリーニを定植しました。これからは一転して低温との闘いが始まります。ブロッコリーは何とかなってもキャベツは危ない、葉が巻く前に力尽きるかもしれません。
一緒に定植したオークリーフレタスやコスレタス、ルッコラなどのサラダ野菜は大丈夫、意外なことに南国イメージの強いパクチーはバジルと違って耐寒性がかなり強いので頼りになります。 ようやく夏の喧噪も去って菜園には今、静かな時間が流れいます。夕暮れ時、収穫カゴを手に菜園を歩き回る幸せを味わっています。 次回は菜園の花について。お楽しみに。 |
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4月 2024
ご案内「藤門弘の北海道フォト日記」は夢枕獏さんのホームページ『蓬莱宮』にも転載されていますので、そちらもごらんください。 |