誰もが挨拶がわりに口にするのが、「今年の天気はおかしいねえ」というフレーズ。 雨と寒さの6月、とんでもない暑さの7月、そして8月に入ると気温が下がり、再び雨ばかり。 たしかに地球はおかしなことになっているのだろう。 やむをえない、このいささか狂った気候とつきあっていきましょう。 ●6月は牧草を刈る季節 今はもう動物がひとつもいないけど牧草地は昔のままで、放置しておくと雑草やシラカバが入ってきてやがて荒れ地になってしまう。だから牧草を使う目的ではなく、草地を緑に維持する目的で毎年牧草刈りをする習慣だ。使う機械も草を細かく切って散布するタイプのもので、これはつまり土からもらった栄養を再び土に返す、ということになる。フレールモア、あるいはハンマーナイフモアという機械で、通称はチョッパーという。この機械を年代物のジョンディ アにつけて牧草地を走り回る。刈るだけで終わりなので我々は気楽だが、酪農家にとっては牧草がきわめて大切、今年のような気候だと深刻になる。 ●深窓の令嬢を発見! 温室では6月から、庭では7月からバラが咲き始める。庭のバラは冬にネズミにかじられたり、雪に押しつぶされたりして、ほぼ全滅。リベンジをしていないので次々と別な植物に場所を譲っている。そんなバラ情勢の中で唯一健闘しているのがツルバラで、サンルームの外といくつかのアーチで花を咲かせる。寒さに強い、という理由で選んだのは、アイス・バーグとかサマースノーとかで、どちらも白い小さな花を咲かせる。春に少し肥料をやるぐらいしか手入れをしないが、それでも結構育っている。 本部建物の南側にあるサンルームはもともと犬たちの部屋として作って、次第に我々が占拠するようになった場所だ。いつの間にかソファを置き、カーペットが敷かれ、最近はテレビまでセットされている。犬たちは最初全部のスペースを自由に使っていたが、やがて部屋の中央に仕切り柵ができ、とうとう各自ひとつの小さな柵に囲い込まれることになってしまった。白いバラの向こうにランちゃんのスペースがある。 ●野田知佑御大と二風谷を訪ねる 春に四国の野田さんを訪ねたが、今年の夏は北へ行くよ、と聞いていた。それならぜひ久しぶりにわが家へ、とお誘いして夕食会を催した。小さい頃からかわいがってもらった有巣と仁木を誘ったが、仕事の都合でかろうじて仁木が参加するだけだった。それでも数々の昔話があって楽しいひとときであった。翌日に野田さんと一緒に日高に行き、二風谷の貝澤輝一さんを訪ねた。アイヌのリーダーだった萱野茂さんの弟さんである。一家にバーベキューで歓迎してもらう。資料館などを訪ねた後で十勝に入り、歴舟川でカヌーを、と思ったが生憎の悪天候で実現しなかった。残念! ●第一回アリス・ファーム「ブルーベリー祭」開催 春に「ベリーの丘」を本オープンさせたが、夏になってもうひとつ盛り上げようと「ブルーベリー祭」を企画した。つみとり園はもちろん、販売する商品も思いきりディスカウントし、特別企画のあれこれを試みた。ブルーベリーのパンケーキや知り合いの作るソーセージを焼き、「ベリーつめ放題」とか「ブルーベリー犬コンテスト」なんていうのもやってみた。それぞれ成功や失敗もあったが、一番嬉しかったのは余市の「HRUKA」さんのバグパイプ演奏だ。広々としたベリー園にこだまするバグパイプの音色はそれだけでスコットランドを思わせる叙情が迫り、聞く人の胸に迫るのであった。江別の有巣君はじめとして多くの知人友人が訪ねてくれて楽しい2日間であった。 ●がんばれスズメバチ! 本部のトイレの窓にキイロスズメバチが巣を作っている。5月の末頃に越冬した女王バチがひとりで巣ずくりを始めた。昨年の秋に受精して単独で冬を越し、春を迎える。そしてたったひとりで巣づくりを始める。それだけでもうぼくなどはねぎらってやりたい気分になり、最初のトックリ型の巣からずっと見物している。やがて最初の幼虫が羽化し、働き蜂として外仕事を始める。巣は次第にスズメバチ特有の丸形になり、段々大きくなっていく。女王は産卵に専念し、働き蜂はエサを求めて飛び回り、それを幼虫に与える。動物質のエサは幼虫専用で、成虫はその幼虫から栄養液をもらう。くびれた腰は液体しか消化できない仕組みだ。働き蜂はまた朽ち木をかじっては持ち帰り、唾液と混ぜて巣の外側に貼り付けていく。巣のまだら模様は木の種類が作りだすアートだ。お盆の頃に一時元気がなかったが、いままた復活して全員でがんばっている。評判の悪いスズメバチだが、ぼくは断固味方をしたい。ちなみ今年は一回ハチに刺されている。 ●池でカヌーに乗る 本部裏の新しい池はおよそ300坪あって、それなりの大きさだ。修理に出したアルフェックというカヌーが戻ってきたので、池に浮かべてみた。ちょうど息子たちが来ていたので、仁菜、あきの姉妹にカヌーを体験させた。本当なら川下りをすればいいのだが、このところ近くの川とは遠ざかっている。「河川改修」なる破壊で、昔と川の様子がすっかり変わってしまっている。それを見るのが嫌なのだ。有巣や仁木は小さい頃よく川で遊んだが、その頃の川はもうない。この池を作って一年になるが、自然にやってきた植物や虫などが結構多くいる。ビオトープというのだろうか。 ●今年もお盆の集合だった 菜園の隣には「墓地」があって、犬の墓が並んでいるが、母藤門政子の墓ができてからいよいよ本格的な墓地になってきた。そして、軽く考えていたお盆のお墓参りにもやや思い入れが深まった印象だ。ある友人に話したら「へー!フジカドさんがねー」と驚かれたが、最近はこの日本の習慣がそう悪いものではないように思えてきた。儀式めいていて恥ずかしくはあるが、年に一度ぐらい家族で集まって先祖の霊に思いを致すことがあってもいいではないか。そしてもちろん、日頃この墓地の管理をしているぼくはそれぞれに刻まれた名前をつぶやきつつ芝刈り機など動かしているのである。 ●「じょうろ博物館」が完成!
今年の工事予定の最初にしていたのがこの小さな建物で、本当にそうするかどうか未定だが、ひとまず「じょうろ博物館」と呼んでいる。じょうろという道具が好きでずっと昔からちょこちょこと買い集めていた。それが結構な数になったし、見ていて楽しいのでいつかどこかに並べてやろうと思っていた。だからじょうろ博物館なのだが、普通の人が見てそれをおもしろいと思うかどうかはさっぱり分からない。自信がないけどまあいいでしょう。 この建物は最初はホテル・ドロームの灯油小屋、次は野菜の直売所、そして三回目の移動と新装なのである。古い建具など再利用して、でもそれなりにかわいく仕上がった。 コメントの受け付けは終了しました。
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4月 2024
ご案内「藤門弘の北海道フォト日記」は夢枕獏さんのホームページ『蓬莱宮』にも転載されていますので、そちらもごらんください。 |